自動調節機能なき市場

レイティングという本来の手段ではなく、不動産を担保とすることで、リスク回避の手段とするというのは、当時の我が国では誰も疑わない妥当な行動だったかもしれない。しかし、現在の平成三年から一転した地価下落という事態のただ中にあって振り返れば、リスク回避どころか、より巨大なリスクを抱え込むという愚かな行動だったと言えよう。【自動調節機能なき市場】ここまでの地価下落、そしてこれほどの低金利、それでなぜ日本の不動産市場に回復が見えないのか。端的に言えば、我々の育ててきた今までの土地市場には、下落という枠組みはなく、よって、その事態に対応する回復メカニズムがないからだ。回復のメカニズムには、少なくとも市場の中に価格の自動調節機能が働くという前提が必要である。しかし、我が国ではそういう自動調節機能は働くようにはなっていない。欧米、特にアメリカでは、不動産市場は完全競争市場とまでは言えないが、利回りや賃料、評価内容等の情報がオープンで、そのため市場において自動調整機能がうまく機能するようになっている。これに対し、日本では、情報閉鎖的で、供給は制限的、かつ取引抑制的な環境のもと、局地的な市場しか形成されず、市場の自動調節機能は働いてこなかった。

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